○前書き
まず始めに、この記事に結論はありません。
投資法について、資金管理や銘柄選択、PFの組み方や売買のタイミングはしばしば語られています。しかし、投資に対する時間配分についての方法を聞くことはほとんどありません。
もちろんその方法は、その人の状況や境遇、能力や人生観によって最適解が変わる以上、まともに語られるものではないことはわかりきっています。
ただ、私としては、投資家にとって、前記のしばしば語られている方法と同様に重要だと思っています。理由は次の通りです。
○時間配分を研究するべき理由
1.人生の時間は限られている
2.常に満足に時間が使えるわけではない
3.投資に掛けられる時間は原理的に不足する
1.人生の時間は限られている
あまりにも当然のことですが、私たちは投資をするために生まれたわけではありません。もちろん、投資をすることが天職や生きがい、人生の目的になる人がたくさんいることは知っています。しかし多くの人にとって、色々な副産物があるとしても、投資は人生をよりよくするための手段であり目的ではありません。Aという投資法とBという投資法において、同じリスクで同じリターンが得られるのであれば、時間を掛けずに済む投資法のほうが、我々の人生にとっては優れているはずです。インデックス投資が持てはやされるのも、時間が掛からないのは大きな理由の一つでしょう。
2.常に満足に時間が使えるわけではない
また、現実問題として、食べたり、飲んだり、眠ったりする時間はかかせませんし、多くの投資家は兼業である以上、仕事をしている間は投資活動はできません。たとえば、7時間睡眠し、4時間を食事や風呂や身支度に使い、9時間を通勤と勤務に使ったとすれば、20時間は拘束されることになります。のこされた時間は4時間です(休日は除く)。これに加えて、繁忙期の残業や、家族との時間、地域の活動、その他趣味や学習の時間もあるとすれば、当然ながら、使える時間は非常に限られます。その制約の中で、兼業投資家は投資に時間を割く必要があります。
3.投資に掛けられる時間は原理的に不足する
さらに、専業投資家となったとしても、原理的に時間は不足します。なぜなら、投資先が多すぎるからです。日本の株式だけでも現在は4000弱あり、それに加えて海外株式や国内外のREIT、債券、コモディティに仮想通貨等々、投資先をすべて追うには絶対に不可能なほど多くの選択肢があります。さらに、その多くの投資先の状況は、刻々と変化しており、継続的に調査をし続ける必要があります。とすれば、我々は、まず、投資先の調査に対する時間を、どう配分するかについて、考える必要があるのです。
○投資先を分類する
私は、投資先を次のように分類しています。
A 投資をまったく検討をしない
B 投資を検討をするかもしれない
C 投資を検討している
D 投資をしている
私にとって、Aは、現物不動産、新興国の個別株、債券、ソーシャルレンディング、仮想通貨、ほとんどの投資信託、非上場株式などが当てはまります。ニュースやTwitterのタイムラインで流れたときにだけ感知するだけで、自分から深追いをすることは一切ない情報です。
Bは、一部の投資信託、コモディティ、国内外のREIT、日本の大型株、先進国の個別株などが当てはまります。もしかしたらCに移るかもしれない情報であり、一応のアンテナは張っている、くらいの段階です。
Cは、ほとんどの場合、日本の中小型株で、特に、自分が色々なところから入手した情報の中で、気になった企業や銘柄が当てはまります。この中からDに移ります。そのため、最も調査をする段階になります。
Dは、私が投資を検討した中から選んだ日本や先進国の個別株や、国内外のインデックス投資信託が当てはまります。場合によってはCよりも調査をすることもありますし、継続的に情報は収集し続ける必要があります。
この分類は人によって異なるでしょう。たとえば、CやDに現物不動産や仮想通貨が入る人もいるでしょうし、Aに日本株が入る人もいるでしょう。また、投資をまったくしない人であれば、すべての投資先がAに分類されるでしょう。問題は、このAからDまでの分類は、私たちの投資パフォーマンスに大きな影響を及ぼすということです。
たとえば、私は仮想通貨に対して、一度も投資を検討したことがありません。ですから、ビットコインがいくら上昇しても、直接的な価格上昇の恩恵を受けるチャンスはいっさいありません。しかし、もし私が現物不動産や新興国の個別株、債券、ソーシャルレンディング、仮想通貨、非上場株式、コモディティ等々にまで投資の検討をしていたら、1つ1つの投資先に対する時間はほとんどなくなってしまいます。ですから、どこかで割りきって、投資先自体を絞り込む必要があります。その割り切り自体が投資パフォーマンスに決定的な影響を与えるとしても、です。その判断は明文化されているにしろいないにしろ、その人それぞれの投資哲学によります。
そして、Cの段階にある日本の中小型株だけでも大きく分類すれば3000以上の銘柄があり、私の主観・客観的基準の両方によって抽出した後でも、100以上の銘柄が残っています。私の主観や客観的基準も雑駁なスクリーニングである以上、その手前で通り過ぎてしまった銘柄に、大当たりがあり、多くを見逃しているはずです。さらに悪いことに、残った銘柄の中に、大当たりどころか当たりすらない可能性もあります。そのため、時間配分は銘柄選択やPFの組み方、売買のタイミングと密接に関係することになります。
問題は次のことになります。
・「投資を検討するかどうかの検討=第一段階の検討」にどれだけの時間を掛けるべきか
・「実際の投資検討=第二段階の検討」とのバランスをどう取るか
・「第二段階の検討」をどの程度で良しとし、実際に投資をするのか。
・「第二段階の検討」で実際に何を検討するのか
これは私の課題であり、私には明確な答えはありません。機会があれば、先達の投資家に聞いてみたいと思っています。
追伸
いきなり「週1更新」を破っていますが、三が日に2つ記事を書いたことに免じて、破っていないことにしてください。
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